早池峰菜(はやちねな)は、茎立菜の一種で、岩手県遠野地方、早池峰山麓の山村の農家に伝承されていた地方野菜(在来作物)です。絶滅寸前のところでしたが、偶然発見された菜類で、早池峰菜の名は、発見後名付けられたということです。遠野緑峰高校の生徒さんたちが栽培や保存に携わっています。 その出会いはさかのぼること2月12日六本木ヌッフで開催された、ロレオール伊藤シェフ主催の岩手の食材を首都圏のシェフに紹介する会、遠野緑峰高校の生徒さんが手にした早池峰菜は天から舞い降りてきたようでした。ひと目ぼれです。 その後、おお通り健康教室のイベントでふるさと活性センターが早池峰菜を紹介、伊藤シェフの早池峰菜ソースのお料理はとても美味しかった・・・。
この感動をみなさんで共有したく、早池峰菜を楽しむ会を企画させていただきました。農、医薬、流通、食産業、テレビ関係、などなどの参加された方々の野菜への想い、そして高い料理技術を駆使し、まさに今宵だけのスペシャル・メニューを準備してくださいましたモン・フレーブの狩野シェフそしてスタッフの協力のお蔭で、早池峰菜の素晴らしさがさらに身体に刻まれることとなりました。
計画中に、スローフードジャパン・味の箱舟認定、宮城県の小瀬菜大根の実が手に入る事になったり、やぐらネギ(三階ネギ)が急遽参加したりと・・ワクワク感一杯。こういうダイナミックな企画は大好きです。
トウモロコシの冷製ヴルーテ
彩り野菜とサーモンの炙り イサダ入りソース
早池峰菜ソース、小瀬菜大根の実(さや)の3種の風味
アスパラガスのソテーとイタリア産生ハムパリミジャーノのチップを添えて
ホタテガイのサラダ 苺のヴィネグレット、早池峰菜のお花、ホタテの間には三階ネギが。
天然海老ソテー ニューバーグソース、早池峰菜の根っこ付き丸ごと、ハトムギを早池峰菜の葉でロールして、小瀬菜大根の実・・・まさに一期一会・・。
岩手県産牛フィレ肉の南部鉄器焼き 牛蒡ソース、ソースの中に早池峰菜の根が入っています。
ヨーグルトとフルーツ
早池峰菜ソース、早池峰菜のお花、早池峰菜の根、すべて食べられるお野菜です。 小瀬菜大根の実は莢の部分は三種の風味で、そして、な・な・なんと、さやかや取り出した実の美味しい事といったら(お料理が大変だったそう、狩野シェフ感謝です)。そして急遽参加の三階ネギ(やぐらネギ)アナの女王の冠の様に大きく育っていて存在感あ。
これからの早池峰菜への期待と心配事。 野菜の背景にある人の暮らしをかざしてみると、実にいろいろなことが見えてきます。中山間地帯で細々と栽培継承されてきた野菜が見つかると、珍しさや興味から栽培を始める人、さらにお金になる、と判断されると、栽培したいという農家さんが出てきて、それを取りまとめる生産組合が出てきて、それから種苗メーカーが出てきて、農業資材を売る会社が出てきて、生産が多くなると売らなくてはならないし、販路拡大だとかブランディングとかも騒騒しくなるし、種は自由に移動するから、その他の場所でも栽培され、いつしか本来の品種とは味も外見も変わっていき・・。いつしかその野菜の栽培は、もともとの畑から姿を消してしまう。大量生産したい人のためにF1品種も並走しはじめ、とうとう野菜の物語は忘れ去られてしまう。これが資本主義経済の農業の自然史。それにお金が絡むとヒトの関係もぎくしゃくしてきます。この早池峰菜だけはその場所でそのままで存在し続けて欲しいと願っています。
朗報!遠野緑峰高校の早池峰菜研究会の生徒さんと遠野のシニア野菜ソムリエ高橋義明さんたちが共同でスローフードジャパン味の箱舟の認定に向けて活動を始めました。現地調査と学術がそろえば認定に一歩近づきます。認定されると私の不安は解消されると思っています。 とてもいいものがあって、いつかは食べたい・経験したい、ということも、時間経過の中で気がついたらすでに存在そのものが無くなっていた・・・そういう残念な思いは、こと農作物に関してはしたくなく、野菜、そして人との出会いを大事に、のがさないように、これからもちょくちょく活動したいと思います。
早池峰菜を届けて下さったふるさと活性センターの藤井様、小瀬菜大根の実を生産・お送りくださいました加美町の早坂様、ヤグラ葱を吾妻ひでおのマンガと物々交換して下さった佐々恵農園様、素晴らしいお料理の技術を披露してくださいましたホテルメトロポリタンニューウイング、モンフレーブの狩野シェフそしてスタッフ、参加して下さった全ての方々に心から感謝を申し上げます。