今年度の医食農連携事業最初のイベントをホテルメトロポリタンニューウイングで開催いたしました。
有機農業、施設栽培、慣行栽培。解っているようでいない。同じ種でも栽培法によって味わいも大きく異なります。有機農法がもてはやされていますが、実際のところはどうなのか?つくば農研機構の中野先生に講演していただきました。
どういう未来を選択するかでそれぞれの農法の長所、短所の見え方が異なる。先生の著書:有機農業インテグレ―テッドを一度読んでいただきたいです。
参加してくださった施設栽培マイクロリーフの耕野、安藤さん。いろどり野菜としてレストランにおさめています。安全で清潔、定常出荷が出来ます。メニューにひときわ美しい野菜。
自然栽培の田村さん。盛岡市近郊で自家採取し在来作物を生産しています。肥料を与えないと土地がふんわりしてボリュームが出てくるそうです。盛岡山東菜の花と安藤さん。本日のメニューには南部芭蕉菜の蕾があしらわれていました。
軽米町えごま農家さんの大村さん。認知症予防にエゴマ油と放送されてからうれしい悲鳴の売れ行きだそうです。
モンフレーブの狩野シェフ。素材を熟知し高い料理技術で素晴らしいお料理を披露してくださいました。いつも有難うございます。
野菜の違いを知るには見て触って食べてみなければならない。本日朝、田野畑村の池のほとりから採取してきたクレソン、そしてとうすけボウフウ(根は生薬)の葉、みょうがの芽、三階ネギ(櫓ネギ)どれも強烈なインパクト。安藤さんの施設栽培野菜と食べくらべ。
クレソンは施設栽培と野生化したものとでは全く異なる味わいです。
こちらのコースはウエルネスメニューとしてサービスされていますので、いつでも召し上がれます。
岩手の農家さんの層の厚さ、農業技術向上を支える科学者、それを食べて健康で幸せな生活を医療でささえること。
首都圏への人口集中はすすむでしょうが、食の生産場所、そして命をととのえる場所としての地方。医食農連携で地域交流をすすめていきたいと思います。
途中、伊藤シェフもご挨拶にいらして下さいました。
参加してくださいました皆さま、農繁期にも関わらずおこし下さいました農家さん、そしてつくば農研機構の中野先生、ありがとうございます。心より感謝申し上げます。
最後にデザートです。
次回は9月13日(日曜日)岩手の赤の食材パワー、調理用トマト、山葡萄ジュースが登場します。
品種名ではなくブランド名です。農業研究者は当たり前ですが農作物を作るのが上手。
ただし環境に左右されない圃場にかぎります。
農業というのは「生業」ですから、生産して販売する(流通にのせる)という、「野菜づくりが上手」なだけでは成り立たない勝負師であり職人の側面があるのです。
JAの言いなりになると無駄な労力を使い利用されることも多々。気づいたら借入金で塞ぎがちな人生、ということも・・。
しかしこのヒトは違うなぁ。ジャパン・アグロノミスツ株式会社、藤原隆広さん。国家公務員、研究者としても沢山の業績をのこし、今、農業人。いや農業経営者か。
http://www.jagrons.com/index.html
野菜の特性と知り尽くしていて、同じ種でもこのヒトが生産するのが益荒男ほうれん草。根に着眼した栽培。人間でいえば腸管機能。根も腸管も都合の良い成分だけを吸い上げるわけではない。そこに高い研究があるのだろうなぁ。
さて、送っていただきました。すごい、動き出しそうです。「益荒男」のようなほうれん草です。
茹でてもかさが減りません。緻密なほうれん草なのです。甘さとほろ苦さ(渋苦くありません)がしっかりあって食べ応え充分なほうれん草です。(味は寒じめほうれん草にはかなわないけど・・・。)
エッセンスに続き岩手出身のシェフのいる飯田橋GRATOにてイベント。
講義だ!と勇んで向かったものの会場はすでに宴会ムード。しかしメディカルと銘打つには怯んでいられない。
食品成分表に記載されていない野菜の風味や味。それこそがフィトケミカル。
保険診療だけではカバーできない予防医療やアンチエイジングを短く解説し、そして試食。
みなさんが「う~鼻に抜ける」とか「なんだろう?この風味は??」とか反応してくださりまして、どうやら参加者のみなさんは感性を十分にもち得ているらしいです。
お料理も岩手の食材を十分に堪能できる内容でした。
付きだし
ワカメのフォカッチャ・秘伝豆のポタージュ
前菜
八幡平サーモンとヒロッコと菊のエスカベッシュ
アスパラとスプラウトと生春巻き(エゴママスタードソース添え)
いわい鶏の自家製ハム椎茸風味
温菜
館が森高原豚とインゲン豆のカスレ
合鴨の岩塩包焼き
サラダ
ベビーリーフと根菜のサラダ(ヨーグルトエゴママスタードドレッシング)
パスタ
自家製ベーコンとアスパラのぺペロンチーノ
メイン
いわて南牛のステーキ 雑穀の焼きリゾット添え
デザート
雪下人参のジェノワーズと八幡平苺のムースケーキ
世の中、カロリーとか塩分とか糖質ばかりに目が向けられていますが、野菜の「美味しい」を規定する品質、そしてワイワイ楽しく美味しく頂くことの健康への寄与(幸福感が健康を規定する大きな因子)、伝わったならば幸いです。
岩手出身の及川シェフ、素晴らしいお料理ありがとうございます。
GRATOのスタッフの方々ありがとうございます。そして参加してくださった皆様のお姿に勇気をいただきました。医師の方々、医療系の仕事でご活躍の皆さま、ひとりこの道をすすんでいると思っていましたが、そうではなさそうです。
私なりの医食農連携、すすんで参ります。