いのちを耕すお台所~医食農連携で生涯秋田美人~と題して講演させていただきました。
[講演内容] 秋田県農山漁村生活研究会グループ協議会50周年を迎えられましたこと、こころよりお祝い申し上げます。生きてきた時代をふりかえりますと、日本も世界もそして食環境も大きくかわりましたが、それでも働いて食べていく・生きていく事は普遍的で、いっそう大切な時代になってきたと思います。 高度経済成長の数十年間、私たちは物事の本質や正義を判断し問題解決をしていくことを怠り続け、美しい自然環境、美味しい食、健全なこころと体を見失ってしまいました。気がつけば人口は減りはじめ、北東北の高齢化率は類をみません。 農家さんの高齢化も、強い農業の側面から問題視されがちですが、長い経験をもとに生産された農産物は品質が高く、地域の伝統食・発酵食品の製造現場、農家レストランなどで元気に働くシニア世代を沢山みうけます。 「生涯秋田美人」のためには健康長寿が必須です。加齢に伴い高血圧症や糖尿病、骨粗鬆症、関節疾患、認知症、がんなどの疾病も増加します。ただし治療中の疾患の有無に関わらず、加齢の下りのカーブを緩やかにすることは有益で、内服薬を減らす事やピンピンコロリの達成にもつながります。なかでも毎日の食事は特に大切です。保険診療で実施される食事指導のほとんどは、カロリーや塩分など食品成分表の数値をもとに行われています。これですと輸入食材でも加工食品でも、数値があえば治療食、予防食です。一方、抗加齢医学では、抗酸化、抗糖化、脂質バランス、腸内環境から食をとらえています。すなわち野菜果物のフィトケミカル、まるごと頂く未精製穀類、ω-3脂肪酸、発酵食品や食物繊維豊富な食材を抗加齢食として推奨しています。これに匹敵するのが、新鮮な野菜果物、魚、健全に飼育された畜産物、豆類、味噌などの発酵食品、まさに秋田県の農水産物です。フィトケミカルは植物性食品の味、香り、色に関わる成分で、収穫後ただちに減衰していきますから、地産地消の食生活は疾病予防や抗加齢にアドバンテージであるのです。特に腸内環境のよしあしによる老化促進や疾病とのかかわりの研究がすすむにつれ、自然に近い食品をいただく事の重要性が再認識されています。これは加工食品や出来合いの食では実現できません。良い作物が育つために良い土壌にすることと同様、よい腸内環境のみなもとは「いのちを耕すお台所」にあるのです。冬期間の保存食に塩分が多くなることはいたしかたありませんが、くふう次第で解決は充分可能です。 資料2は医食農連携の概要図です。生産現場・食産業・医療福祉それぞれの距離が縮まることの大きなメリットと、そしてその中心は食を準備する「お台所」であることを強調いたします。医療が食への理解や関わりを強くしていく事がこれからの課題です。 秋田県のキャッチコピーは「ユタカな国へあきたびじょん」、岩手県は「黄金の国いわて」、宮城県は「美味し国」と共通の理念、つまり「生産し食べて幸せに生きていく事」です。高齢化社会において多くの方が社会保障費に頼らず、生き生きと働く社会にその理想郷があります。東京オリンピックの開催が決まり、伝統的日本食文化や農山魚村の景観に、食産業や観光業界が注目してきました。経済活動の方向を舵きりし、美しい日本、美味しい食、健全なこころと身体という大きな遺産を、次世代に残せることを願っています。
会場300名の方々は生産し食品加工し家族とともに地域で暮らす方々。会場と一体になったかのような講演。貴重な経験をさせていただきました。
秋田県の伝統を継承していくキーパーソンと岩手の在来作物を手にしての記念撮影。北東北の手つかずの自然や中山間地帯の景観、温泉、人々、伝統食・・・・観光へと発展させて高齢化社会をむしろ享受して美しい日本を後世にこのしたいと思います。
今回で2回目の岩手県の在来作物を楽しむ会を11月16日(日曜日)ロレオールで開催していただきました。
石黒農場敷地内の素敵な古民家に移転したロレオール。在来作物がさらに美しく見える場所です。
安家地大根をホイル焼きにしています。
今年は在来作物にとても縁が深く、関わるほどにその歴史や背景に引き込まれてしまいます。晩秋は在来作物がさらに美味しい時期、かつて岩手は凶作にくるしめられた歴史。稲作の出来が良くないと夏季に判断されると蕪や大根を多めに巻いたとか。よって糖度の高い蕪、フィトケミカルの多い赤色の作物が多いのかもしれません。
坂本赤かぶ。赤色は美味しく見える食材、そして種を伝承してきた農家の女性たちの美意識、そう勝手に思う事にします。
琴畑かぶ
さとうかぶ(矢越かぶとも言います)
少しレクチャーさせていただきました。お隣の秋田県の在来作物の話題も交えながら。 お料理はさすがに素晴らしい。いえ、今日は特に野菜のいのちと伊藤シェフの鼓動が同期し、大地からテーブルに連続しているかの様な感動の食でもありました。こういう食は身体が震えます。
サトイモのグリル:イクラ・南部鮭冷燻削り 里芋は津志田の里芋です。
ワラサの炙り 安家地大根炭火蒸し焼き・グリル・サラダ 安家地大根を三つの料理法で。それぞれが別の顔を持ち始めます。
鮃のポワレ 青平豆・黒平豆 ポロネギのブレッグ ポロネギは西洋野菜ですが美味しいのでもち込み(佐々恵農園)
岩手シリアルとサトウカブ(矢越蕪)のリゾット:稚鮎・イサダ・早池峰菜も入れて
ほろほろ鳥南部鉄器焼き 白皮サトウカボチャ・坂本赤かぶ ほろほろ鳥は胸、もも肉、そして内臓のスペシャル。これはなかなかありつけません。
日本鹿のポアレ・どんぐり粉と山葡萄のソース、むかご・山栗・キクイモ・カリフラワー こちらのソースは素人には無理。個性的なソースと鹿肉が大地のブッシュフード(自然に生えている食べられる植物)と風合いをあわせ、晩秋の森林の落ち葉をカサカサと踏んであるいているような気分になりました。
すたれ小豆・牛乳のアイスクリーム 食用ほおずき 今年もデザートはすたれ小豆で。
お品書きです。
参加者の方々と深い会話ができましたこと良い思いで出来ました。そして集まって美食する事のしあわせが普遍的であることが再認識でき、とても感慨深い会でした。
そして、初対面の縄文にんにくの方に「あなたはブータンに行きなさい!」と。 はい!必ず行きたいと思います。
主催してくださったスローフードいわての茂木さん、いつもありがとうございます。
岩泉からお越しくださいました会員の皆様、なんだか幼少期のしあわせな食卓を思い出します、これからもよろしくお願いいたします。そして伊藤シェフとスタッフの皆さま、いつもわがまますみません。もっともっと発展させたい「真の美食」と「地域を幸せにする食材の追及」です。
在来作物(伝統野菜)で磨く<食文化・ヒト・地域>8年前から私の論点はぶれることはありません。 11月6日岩手県食の匠認定式後の講演。食の匠は岩手県の財産です。食育も伝統野菜も食の安全も行政の取り組みは周囲の県より見劣りします。しかし、この食の匠の方々の存在に岩手の伝統食文化と地域づくりが委ねられています。演題は「いのちを耕すお台所・輝け割烹着シェフ」。
11月8日岩手県岩泉にアルケッチャーノ奥田シュフがツーリストと庄内の生産者を引き連れて岩泉入りしました。岩手の食材の素晴らしさを解説。特に松茸だそう。山形には松茸は育たない、意外でした。私にはすごくありふれた食材です。
震災時のロレオール伊藤シェフとのエピソードを交えて活動を披露してくださいました。
大槌在住和楽器奏者もと姫神センセーションギタリスト。被災されたそうですが、全国から届いた楽器で演奏を再開できたと。とても心に染み入る演奏でした。
奥田シェフのお料理。
前菜
短角牛と安家地大根
メニューは最後まで変更あり、紫白菜を牡蠣で蒸して揚げたワンタンの皮を散らしています。
岩泉道の駅樹縁の松茸とひっつみ。この味で育ちました。
奥田シェフは表情を変えませんがゲストをきめ細やかに見渡しています。ある種独特のムードがありますが、それが自然と一体化しているということ、今日気づきました。風みたいな人なのですね。基本的にとても優しい方です。樹縁の方々との「約束」を果たしに今回ツアーを企画されたそうです。
庄内の生産者の方々も同行されていました。よみりのレシピの焼き畑農業の方が!!先週、渡辺監督にお会いしたばかり!!出会いは一気に訪れました。
庄内の生産者の方々、奥田シェフと集合写真。心があったかくなる日でした。