11月15日に行われた森の診療所メディカル・ランチのご報告.
アンチエイジング食の基礎:前編
今回は野菜の成分である「植物化合物」について解説。ポリフェノールだの抗酸化物質だの、活字にはあふれているけれど、それらが体内でどのように動くのかまとまって知る機会は少ないでしょう。
そのあと大根各種、リンゴ各種食べ比べました。
これもなかなか経験できないこと。
さてお料理は岩手の食材が満載。
【前菜] 水タコとすき昆布のカラフルマリネ
ちぢみ小松菜の厚焼きオムレツ
【サラダ】 彩り根菜と紅玉のサラダ アンチョビドレッシング
【パスタ】 岩手産Cava缶とクッキングトマトのパスタ
【メイン】 鮭
【デザート】 さつまいもプリン 次回は3月13日(日曜日)です。
医食農連携のすすめ~田や畑は子供たちの未来に繋がっている~
と題して講演しました。関西で1000人規模の講演は初めてでした。
私が医療機関の枠をこえて活動しているきっかけや理由をお話しし、次に食の問題・医療の問題を「食」の視点から解説。健康で過ごすためには自分自身で食を賢く考え準備していく必要があるとし、これまでの講演タイトル「いのちを耕すお台所」に展開。
シニア世代の暮らしが日本の未来を変える。すべての人に医療機関や薬だけに頼らずに自分体と向き合いながら生きていく人生、農家さんは元気で自分なりの目標ある農業と人生を。人の繋がりを背景にした食の流通と経済、年金生活ですからたくさん作ってたくさん売る、ということより、「喜ばれる」ことは生きがいになります。その田園光景と日本の食が「観光立国」の背景になり、大切な田や畑を子供たちにつなげていける手段でもあります。日本食は世界的ブーム。しかし世界中の日本食店は9割が日本人と良く顔の似たアジア人が調理している事実。日本人の感性と技術を持った若い方々が日本人のビジネススキルを持った人の牽引で世界で経済活動をしてほしいと、そのための日本の国の背景づくりは必須です。
世界情勢は複雑・混沌化、なにがあっても「生産して食べて生きていく」ことは普遍的、と〆ました。
1000人ですから内容の到達度は様々。
・農家には難しい
・もっと詳しく解説してたくさんの人々に届けたい内容(これに懲りずに?またよろしくお願いします(主催者)
・沢山の大事なことがぎゅーっとつまった内容
・こういう先生にやっと巡り合えました(看護師さん、自分で食と健康の会社を起業)
・数名の市議会議員の方からHPコンタクトフォームを通じて感想などが。
2012年、農研機構主催の「食のブランドニッポン」で基調講演したときとあまり内容は変わっていませんが、反応が全く異なりまして3年の歳月を経てやっと受け入れられたという感じです。
そのあと、みなみのレストランで岩手の食材を楽しむイベントを。食と健康を軸にビジネスをしている方々と情報交換できました。
関西と岩手、異質な分だけお互いを認め合い同じ方向を向いていけるかも、という感じです。
これが私の考える「正しい」地方創生です。
美食の医食農連携「岩手の山葡萄」編。
自分のシニア野菜ソムリエ人生の歩みを振り返る感慨深い会となりました。
事実その1:岩手県の地質は周囲の県よりはるかに古くカンブリア紀それ以前にさかなぼる。その大地に自生する山葡萄はその地質でのびやかに育ち、味わいも栄養性・機能性にもすぐれたいわば「薬」である。幼少期口にした山葡萄は子供にはすっぱ苦かったけど、食が細く貧血の祖母は大事に搾り汁を保管していた。
事実その2:地域興し的な発想から岩手の特産にしようと行政と研究機関は「交配種」を育成し、感性ゼロのまま農家さんにばらまいた。しかしその交配種は単なる「ブドウ」の性質と味わいのチカラしか持たず、もちろんポリフェノール量なども本来の山葡萄のような産生能力をもっていない(検査済み)。収量があがると売り先に困る。横並びの6次産業がいくつもつくられたがヒットせず、創り方を間違えた山葡萄ワインにもしらけムード一杯。かくして農家さんは生産をやめていった。
事実その3:そのなかでも交配種ではない山葡萄を大事に選抜し生産している奇特農家さんがいらした。成分分析をかけても素晴らしい数値。検査結果をみて涙が出た。行政や研究者は大事なものを踏みつぶしてきた。
事実その4:岩手県の地質とそこで自生してきた山葡萄は岩手県の宝物、世界で唯一とソムリエの松田氏は語る。県内の地質を示す石と山葡萄のテロワール・味わい(野生種・交配種)、感性と知性の際立つ素晴らしいプロのお仕事。
そして岩手のベリーの第一人者、工藤氏の説明は山葡萄の歩んできた道のりを淡々と説明する。地道な専門性の高いお仕事。岩手の山葡萄を守り抜くにはこの方のお力が必要です。
事実その5:今日の会、行政の担当者に参加を再三再四お誘いしたが、誰一人として反応するものはいなかった。 あとはわかる人だけで世界を創ります。
今日のお料理はモンフレーブ狩野シェフに「フランスの片田舎をひとり旅してふと目に留まった、地元の人々に愛されにぎわう素朴なレストランの素朴なお料理」とお願いしました。とても染み入る料理人の愛がこもった美味しい料理でした。
こちらは先日訪れたブータンからお持ちかえり。
最後に、野生の山葡萄を自己選抜して大事に大事に守り抜いてきた山葡萄畑が、三陸復興道路の下敷きになりました。ああ、もう失いたくないです