被災地での「幸運の自己血糖測定器」のお話
被災地の仮設診療所で患者さんから伺った血糖測定器(以下SMBGと略します)のお話。
SMBGの為の機器はこういった掌サイズのもので、指先などに細い針を使用して血糖を自分で計測します。これは私が持っているSMBG.
さて、その方はインスリン自己注射を実施している方。震災に限らず、非常時その他どんな時にも糖尿病治療に必要なものは一つにまとめておいてあったそう。震災当日は近所を散歩していたそうですが、避難指示が出てすぐに自宅にもどり、非常時持ち出しバッグを持って高台へ。しかしSMBGの機器はバッグからいつの間にかこぼれ落ちていたのだそう。
その後別の機器を使用していたそうですが、使用法が少々違っていて測定に難渋していたそうです。
それが1か月後、地元の幼稚園児が、とてもきれいで素敵でしかも名前が記入されていたポーチに入ったSMBGを岸壁よりの場所で見つけて、その後ご本人のもとへ届けられたのだそうです。
今日そのSMBGを「これなんですよ」と。津波にもまれても中に水がしみ込まず、壊れることなく現在も毎日使用しているのだそうです。
戦争のようでした・・。その方は最初にお話しされました。
私は何十年も糖尿病とむきあってきましたが、体調を崩さない様に身体を気づかい、つねに「何かあったら・・」を考えながら生きてきたのが今回とても役にたちました、周りの「もの」はほんとうに全てなくなりましたが、自分と家族と、そしてこの自己血糖測定器は残り、ひとの暖かさや支援してくださる沢山の方々の「ひと」という存在が今の自分の全てなのです。
糖尿病の自己管理は人生も良い意味で管理できるのですね。そう思いました。被災地された方々から、今日も多くの事を学びました。
1 コメント
きっとお守りのように大切にしていたのでしょうね。
ひとの一念は岩をも通すって、昔から云われますが、
思いは通じるんですね。