統合医療か、瀬戸内寂聴さんか

日本の医学教育は基本が西洋医学で、ドイツ医学の流れから病理診断、いわゆる病気の原因は「これです」という目に見える事実から診断され、身体がふるいにかけられ、病気の範疇か(保険診療か、つまり公的なお金を使用できるか)というところから診療がスタートします。保険診療規則の通り診療しないと国に保険請求できません。一方、自由診療も存在しますが、国民皆保険で慣れきった国民の皆様には全額負担しても受けたい医療はごく限られたものになるでしょう。

 

そのような診療システムと国民皆保険という状況が、医療機関と国民の「健康で幸せに生きていく(お互いの利益共存)」という方向性から逸脱する結果となっています。

 

秋田県でこのような事がありました。

***************************************************************

医師居着かぬ村診療所、女性医師「中傷で退職」

読売新聞  10月2日(火) 配信

 秋田県上小阿仁村は1日、村唯一の医療機関「村立上小阿仁国保診療所」所長の伊尻孝一医師(49)が12日に退職し、同日付で北海道帯広市の西村勇医師(71)が所長に就任すると発表した。

村総務課によると、伊尻医師が5月下旬、村に辞意を伝えた。村は7月からホームページなどで医師を公募。西村医師から村に連絡があり、村が9月に面談して採用を決めた。

同診療所を巡っては、伊尻医師の前任の女性医師が2011年5月、「激務をこなせる体力がない」として退職したが、同村の小林宏晨・前村長は当時の取材に「(一部村民からの)言われ無き中傷により、心に傷を負わせてしまったことが最大の原因」との見解を示した。

伊尻医師は11年6月に着任し、1年4か月での退職。辞める理由について、村総務課の萩野謙一課長は「本人の意思なので、村が公式に言うことはできない」とし、同診療所の石上耕作事務長は「(伊尻医師)本人が取材は一切お断りすると話している」としている。

萩野課長は「村唯一の診療所をなくすことはできない。西村先生の要望には極力対応したい」と話した

***************************************************************

 

実情は関係者から聞いておりました。なんでもさまざまな事があったらしく、辞職の決定的な事実は、医師官舎の周囲が真っ暗だったので街頭を一つ付けたところ、公的なお金(電気代)を「たった一人のために使用するのはいかがなものか・・・」と議会に出されたことが引き金だったらしいです。

たった一人、その一人の女性医師がどれほどまで大切な人だったのか・・・。

その地域が次の医師の「ここには居れない」短期間で去っていく事実から、どのような場所か、想像は容易だと思います。

 

この女性医師の話を以前、その地域で聞かされた時、私がぼやいた言葉「私は精神疾患の方から脅迫状を頂いていました」。ギャラリーは5名でしたが、一同、沈黙。

 

地域医療をするなら、むしろ瀬戸内寂聴さんくらいにならないと日本の医療制度からは矛盾だらけです。

天大寺の住職、瀬戸内寂聴さんの説教。聴衆からの質問に

 

「ガンは治ります」

この言葉でどれだけの人が救われるでしょう。どのようながん治療の大家でも初対面できっぱりと「治ります」、とても言えません。

 

加齢にともなう諸症状なら寂聴さんの説教の方がよっぽど診療費の抑制になります。

 

なぜなら「加齢は治す必要はないから」。加齢の抑制を既存の医学技術で実践したいなら自由診療です。

 

その辺のニュアンスが、普通の人にはなかなか理解できない。

 

だから坂道を登って、お寺のムードのなかで、寂聴さんにきっぱり言い切っていただく。そのほうが人々の心に到達できます。

運気向上坂・・・一生懸命のぼったのだから願いはかなうはずでしょう。なにか良いことがあるはずです。そんな言い方もされていました。

 

外来診療の多くが、寂聴さんのおっしゃる「煩悩」なのかもしれません。それに対し西洋医学で何を答えましょうか?しかも西洋医学的な診断基準でなければ保険診療できないのですよ、日本は。一生懸命外来診療し、人を治しているつもりでも、解決に至らない、むしろ解決すなくてずっと通院していただいた方が経営が安定する。

優秀な医師になりたい・イコール・寂聴さんになりたい。

 

そう思いましたよ、今日は。収入は多くなくても自分の理念で行う人々の幸せのための「医療」が出来るのでは。

 

この近くの県立病院で診療しておりますが、なんでも医師不足で県からの医師の派遣が要請通りで無く、不満を感じた町のトップと議会が、フィリピンの若い女性に奨学金を公費で出して、日本語学校と日本の医科大学を卒業させ、首尾よく医師免許取得したのちは町内の医療機関で勤務してもらう、と。

 

この地域、フィリピンからのお嫁さんも多い地域。外来に父娘ほどもはなれた夫婦が、妻の体調不良を主訴に受診されることも幾たび。お嫁さんはどう見ても不幸せそうでした。

それでも震災後はお嫁さん方、一斉に帰国し、姿は見えなくなりました。

寂聴さんは、これも縁、煩悩などと言い切るのかな。

 

で、1日バスツアーでしたが、成り行きにまかせて、でも色々考えさせられた、人を診る、という「仕事」です。

寂聴さんの青空説法の前後に訪れた新安比温泉流静閣のおかみさん

 

釜飯ランチを頂いて

 

最後に女将さんのひとこと

 

誰かのために何か出来る事を一生懸命することに自分の人生の煌めきがあります。

会話の中でホロリと女将さんから出た言葉です。統合医療がすすむ事を願い、同じ理念で医療を行える人々が寄りそってくることを念じながら努力しようと思いました。

 

寂聴さんになれるなら???はい、すぐにでもスキン・ヘッドにして修行できます。

 

コメント投稿

メールアドレスは公開されません。