投稿者: 宮田 恵

あきた郷土作物研究会

  12月1日に研究会が発足しました。以前から秋田の農作物を探しに、そして秋田美人の観察研究に何度も足を運んでいた私としてはこの研究会に入るのはとても自然な流れです。

 江頭先生

山形大学農学部、江頭先生のご講演。「在来作物:郷土を彩るその特別な価値」

 

作物とは人間と共生関係にある植物である。これは私のテーマ「いのちの傍らに花・野菜」と共通の考えのよう。

 

在来作物が地域を元気にする必要条件として

  1. ここにしかないものを見つける。なければつくりだすこと。
  2. それを地元の人が誇れる事。
  3. 地元内外のヒトが楽しんで利用していること。
  4. リアルタイムに新しい情報を発信すること。

 三内ニンジン会長

「山内にんじんの復活のために」山内にんじん生産者の会石沢英夫会長のご発表。平成17年に山内にんじん復活のための活動がスタートしたそうです。自家採取していたニンジンは形質がバラバラ。そのなから山内にんじんの特徴が良く出ている種を選抜していったそう。

 品種改良

そこに研究者の存在がありました。先日の「食の日本ブランド2013」の「強い農業を牽引するためのわき目もふらない品種改良」がお仕事の研究者とは対極の仕事がありました。感動。

 横沢まがりねぎ

横沢曲がりネギの生産者倉田さんから。たった一軒の農家さんが守り繋いできたネギ。2年物の栽培なのだそう。何度もめんどうくさくなって投げ出しそうになったネギだったそうですが、美味しいし、先祖から受け継いできたという価値、自分の代だけでも継続栽培しよう・・・実直な気持ちがひしひしと伝わってきます。

 お茶

最後は北限のお茶、檜山茶保存会梶原さんから。一緒に活動している能代松陽高校の生徒さんと発表。地道に製茶技術の向上や紅茶開発などに取り組んでいるそうです。しかし1日に製茶できるのは限られていて、なかなか売り上げにはつながらない仕事に、これまで迷いもあったそうです。

 

この方々に勇気を与えたのが江頭先生の「誇り」という言葉です。

 

秋田ではこの言葉がすんなりしみわたっていくのが感じられ、私としては驚きでした。他県では「誇り」ではお腹がいっぱいにならない、という発言も良く耳にしていましたから。

 

農作物の展示がありました。これには感動。ともかく野菜が美しい。

大館地大根

大館地大根

秋田三八大根

秋田三八大根

四ツ小屋大根

四つ小屋大根

沼山大根

沼山大根

川尻大根

川尻大根

松館しぼり大根

松館しぼり大根

三関せり

三関セリ

石橋ごぼう

石橋ごぼう

山内にんじん

三内ニンジン

横沢曲がりねぎ

横沢曲がりねぎ

からとり芋

からとり芋

火野かぶ

火野かぶ

平良かぶ

平良カブ

雲然柿(くもしかりかき)

雲然柿

西明寺栗

西明寺くり

ちょろぎ

ちょろぎ

とんぶり

とんぶり

でんこ小豆

 でんこ小豆

そのあと、秋田キャッスルホテルに移動、交流会で郷土作物を盛り込んだお料理の数々を楽しみました。

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山内にんじんのサラダ、かき揚げ、ムース

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からとり芋の煮物。親芋と小芋それぞれ楽しめました。

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芋の子汁はからとり芋と横沢ねぎが最高!三関せりがアクセント。いいねぇ。

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松館しぼり大根はお刺身と相性抜群。とんぶりがさりげなく散らしてあります。

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栗ごはんは西明寺栗。

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私は在来作物の背景に「人々の暮らし」が見える事が大事だと思っています。ひと言挨拶では「美味しい・楽しい・幸せ」を大事にする研究会であって欲しいと、そして秋田美人という「在来種」を大事に磨いていただきたいと申し上げました。

 

私なりの美人の定義「一生懸命働いて、周りの人をシアワセにして、私の人生最高」と言える美しい生き方をしたひと・・。会場に沢山いらっしゃいました。

 

どうして秋田にまで?理由は以前からのテーマ、ラスト・ジャパン「残された日本」を北東北三県に示し、美しい自然環境とそれに根付く食文化を維持継承していくことなのです。必ず日本文化の宝物になるはずです。

 

さらに温泉と発酵食も・・・北東北に「誇れる」文化あり。

 

 

 

 

食のブランド日本2013

食のブランド日本2013

 確認したいことがあって参加いたしました。

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2011年このイベントの基調講演の講師を仰せつかりました。

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震災後でしたので混沌として先が見えない社会状況の中、自分の気持ちを素直にお話ししました。

 

申し上げたかったことは

・高齢化社会、シニアから後期高齢者の生活の仕方が日本文化を変える事。

・地域の伝統的な食文化を形成する農業(伝統野菜)や発酵食を継承するのは高齢の農業者であること。

・まがい物がまかり通る世界の日本食。日本人自ら、真の日本食を定義し、経済的な道すじをつけ、日本食でのビジネスチャンスを後世に残していく使命がある。真の日本食の背景には美しい日本と伝統的な日本食の生産現場があってこそ、これらを維持する努力を(日本文化再創造)

・セシウムの半減期の30年後、日本の人口は3分の2になる。このとき美しい日本が残るために努力していくべき。

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この時、もちろん安倍政権ではありませんでした。農研機構の所長さんは「私たちが言いたい事をおっしゃってくださった」と後ほどお話くださいました。しかし運営の中心人物は、内容が広すぎて、もう少し絞ってお話し頂きたかったと。

 

会が終了して、若い女性が「TPPについてはどのようにお考えですか?」と質問してきた。唐突でしたので「問題の病巣を外科的に切るのが先ではないでしょうか」と答えるにとどまりました。

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食のブランド日本は、農研機構の新種の野菜の発表会。参加者はある特定の領域の方々のみ。皆さん、これでいいのだ、この方向で間違いない、みたいな雰囲気はある。強い日本の農業の為には確かに重要である。政府の奨励もあり、最近は特に勢いが違う。

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私自身が違和感を持つのは持論が上記であること、そして在来作物の遺伝資源を減らしている原因のひとつが近代農業であるからなのです。以前の講演内容はもしかして場違い?いえ、どこかに届いている?まだ確認できていません。

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さらに、農業者も高齢化が顕著(平均年齢67歳)。「農家も経営感覚を」と今回、講師は話されていました。しかし・・・もうすぐ年金生活の方が、リスクを負ってまで攻めの農業をしようとは思わないのでは・・・。

 

私自身、堅持しています「観光立国日本」。唱えてもう4年にもなりますが、いまでもぶれることはありません。2011年の年賀状に記したその文字は、震災で宙に浮きそうになりましたが、オリンピック、日本食文化世界遺産登録など、むしろ明確になってきたような気がします。

 

そういえば岩手県の高校生食育DVDを作成したのですが、霞が関の農水省の若手役人さんから問い合わせがありまして、送付したことがあります。感想のメールは感触がとても良かったです。なにか良い感じで政策に反映されていると、私財を投げ打って??の私の活動も救われるというものです。

 

自分の活動と論点は間違っていないような気がする、それだけは確認できましたこと、参加して良かったと思いました。講演会のあとは紹介された食材を使用しての和洋中のお料理の披露。

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特に素材を感じさせるメニューではありませんでしたので、美味しく頂きました、という感想だけですね。

 

 

 

 

在来作物を楽しむ会

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地元紙に掲載された記事はほんの僅か。でもその一字一句に大きな意味があります。

 

在来作物の活動は山形のアルケチャーノの成功例を見ればわかるように、山形県の取り組みは素晴らしく、また秋田でも秋田県立大学の生物資源学科を中心に、その活動はにわかに活発になっています。在来作物で地元経済を活性化することだけが目的ではありません。在来作物を知ろうとすると、それは食べて生きていく事の根源にたどり着きます。

 

野菜の種を自家採取して来た農家さんがあっての在来作物。種を購入してしまえば、F1品種を主軸とした交配品種のみ。生物資源はもとに戻ることは無く、失われた遺伝資源はかなりの数に登ると言われています。

 

岩手県でも「研究会」とまではいかなくても、在来種を取り巻く人々(生産者、在来種をよく知るヒトなどなど)が集まって、在来作物を「美味しい!!」と楽しむひと時があったなら・・・その願いをスローフード岩手がかなえてくれました。

 

料理人も共通の気持ちになれる方を・・・ミタイミタの水野シェフです。

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在来作物の命をいとおしむお心がなければ、私は在来作物をお料理する資格は無いと思います。固い、甘くない、不味い、不ぞろい・・・そんな言葉が一言でも出てきたら、ノーサンキューです。

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安家地区を訪れたシェフの姿・・・もう説明は要らないでしょう。

 

日本大学生物資源学科教授の川手先生がいらしてくださいました。感激です!ずっと岩手の在来作物を調査研究されていました。スローフードいわての名誉会員です。学術的な見地の深さはもちろんの事、在来作物に寄り添う優しい方です。

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生物多様性、短かったり、太かったり色が濃かったり薄かったり・・・種というのものはそういうもの。その不ぞろいさが種としての安定につながるという。今の農作物は多収量と均一な味と外観、工業製品を作るような種の設計になっていて、残念、いえつよい不安すら覚えます。

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スローフードジャパンのアルカ活動の中心人物、黒川さんも参加してくださいました。ご縁、有り難いです。

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遠野カブと烏骨鶏を手配してくださった遠野市のシニア野菜ソムリエ高橋さん。遠野市の農業はこの方にかかっています。

 

さてさてお料理の数々。

 

安家地大根と遠野カブの色どり豆サラダ。

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それから安家地大根のロースト冷菜仕立て。オリーブオイルと岩塩でいただきます。シンプルなのに驚きの美味しさです。

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畑の安家地大根(9月の写真)。

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そしてスペイン料理らしいひと品

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烏骨鶏のトルティージャ

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石川早生丸(さといも)のパタタスブラバス

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この里芋生産者、田村さん。頼もしい存在です。

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4種の豆煮込み

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安家地区の在来作物には豆も豊富

 

料理前の短角牛

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短角牛の肩ロースソテー・焼き野菜を添えて

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安家地大根、遠野カブのソテーと遠野カブのおろし、そしてワサビ漬けも。

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雑穀パエジャ。さらに磨きがかかったメニュー。素晴らしいの一言です。

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多田農場のモッツアレラ・すたれ豆のクッキー。この会のために多田農場から。

 

どうしても食べたかったすたれ豆。お願いしてメニューに。クッキーで素朴な味わいです。

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こうして手のひらにのっけて、9月上旬に訪れたときの畑の様子を思い浮かべるのでした。

 

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生産者、真ヵ口さんの手。繋げるのは人の手です。

 

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シェフにお願いしたのは、このスペイン料理のレストランが岩泉の町にあったなら・・・。スペイン料理の技術を駆使して地元の食材を素直に盛り込んでください、とお話していました。そのほとばしる気持ちを両手ですくうように、お料理に表現してくださいました。

 

ともかく笑顔、笑顔、笑顔それだけで嬉しい私。在来種は生産される場所とヒトが重要。ひとり歩きしないことが大前提なのです。

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だから安家地大根保存会代表の嘉村さんを中心とした安家地区の方々をこれからも応援したいと思っています。

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参加してくださった酪農家の八重樫さん。岩手のスローフードのキーパーソンになると直感しています。詳しくは後ほど・・・素敵な物語は続きます。

 

参加してくださいました全ての方に、水野シェフに心より感謝申し上げます。