10月1日~6日、韓国のナムヤンジュ市(ソウルから車で1時間ほど)で開催されたAsiO Gusto 2013(アジオグスト)に参加しました。サローネ・デル・グストのアジア版とも言うべき大会で(テーマは味で変わる世界)、アジアとオセアニア約30ヶ国のスローフードな食と参加者が集う大規模なイベントでした。
この大会に参加するために、夏休みは2日間で我慢、いろいろ様々調整して準備してきました。
印象的だったのが韓国と日本の精進料理の同時セッション。希望した時はすでに満席でしたが、ご配慮いただいて参加できました。

鎌倉不識庵の 精進料理研究家・藤井まり先生。とても穏やかな方でした。

やわらかい味付けと素材そのものの味わい。毎日たべるべき食の原点があります。

生姜飯
なすの利休汁
ごまどうふ
泥蓮根
小松菜の海苔和え
車麩ステーキ
かぼちゃの豆乳煮

そして私にとって衝撃的な韓国精進料理。尼さんの元気な解説は、文言やストーリーは別なれど、本質的な食の考えは、今の自分が考えている理想的アンチエイジング食にかなりオーバーラップします。

1.痛みをともなう食(動物性食品:肉、魚、貝、昆虫)は食べない。
2.痛みを伴わない食(植物性食品)を食べる。
3.流通している加工食品を食べない。
4.山野草の薬効成分のあるものを通年性にいただく。
5.発酵技術を食品加工にフルに生かし、食材を無駄なく安全に保存していただく。
(この他に、私の推奨するアンチエイジング食は、脂質バランス:ω―3や一価不飽和脂肪酸が強調されます。精進料理はシソエゴマやナッツ、胡麻を多用するので、問題にならないかと)

講師は不登校や罪を犯した青少年の治療や更生を、カウンセリングと食事療法で何人も行なってきたといいます。なるほど・・。
この精進料理はビジネス化しているようです。素晴らしい。理念を貫くにも元手がいります。お二方にそれぞれ質問、丁寧に回答していただきました。もっと色々お聴きしたいことがあります・・・。



展示場には多くのスパイス、発酵食品が展示されていました。

展示場にて、写真撮影よろしいですか?のお願いに、天使のようにはにかんだ表情で応じてくださいました。このように穏やかに生きたいですね。


日韓のいざこざは政治的なこと。女性たちの暮らしや心がまえは共通です。食を通じて平和を!いつの時代も平和と食べる事、そして母の愛は普遍的です。

集合写真。きっと女性が過去を引きずることのない、あたらしい歴史に導いてくれるような気がします。
東京南青山、マスターソムリエ高野豊氏のワイン会に今回提案は、愛知伝統野菜の縮緬かぼちゃです。愛知シニア野菜ソムリエ高木さんの手配していただきました。

中国でもご高名になられた高野氏ですが、日本から見た中国とは格段の差があり、中国内部、特にワイン業界に関して言えばそのようなこと(領土問題)は全くないと断言されていました。語るワインは今日も深く広く明るく、ヒトとヒトを結びつける確かなものです。

縮緬かぼちゃを紹介させていただきました。日本食文化世界遺産登録にむけて、伝統野菜はDNAに歴史が刻まれた重要な食材、と強調させていただきました。

今晩のメニュー
前菜
ホワイティ:マリネ、オーブン焼き、テリーヌ
ちりめんかぼちゃ:マッシュサラダ、マリネ、キッシュ


縮緬かぼちゃの表皮の特徴が出ています。

生ハムとホワイティ・有機トマトソースのペンネ

真鯛のアルフォルノ挙げホワイティ添え

蓼科豚とちりめんかぼちゃのミルク煮
これは見た目よりずっと美味しいです。

縮緬かぼちゃがちょこっと・・。

チーズを三種(高原のナチュラルブルー、やさしいウォッシュ、カマンベール)
アトリエドフロマージュのお家芸です。日本人がつくるチーズはまろやかです。

梨とカラメルのムース

食用ほおずき。秋が来ましたね。
ワインは本日は変則的。白ワインは1種だけです。

バロンド・ド・ブルバン・ブリュット・ロゼ[フランス・ブロヴァンス地方]
ロッソ・ピチェーノ・スペリオーレ2010[イタリア、マルケ州]

シャトー・デュ・グラン・ムエイ・ル・クレレ2008[フランス、ボルドー地区、ブルミエ・コート・ド・ボルドー地区]
安曇野ワイナリー、長野県原産地呼称認定・シャルドネ・シュルリー2011・高野豊セレクション[長野県、高山村]
ヴォルネイ・1e・クロ・ド・ラ・バール・モノポール1999・ルイ・ジャド[フランス・ブロヴァンス地方]
シャトー・デュ・グラン・ムエイ・ルージュ2004[フランス・ボルドー地方・ブルミエ・コート・ド・ボルドー地区]
安曇野ワイナリー、雅木花2011[長野県・長和町]
ともかくこの会は私にとって修行の場所です。高野氏についていけるように努力していきたいと思います。
私の活動のテーマは日本文化再創造そして観光立国日本。この主張は5年くらい前から変わりません。
2011年11月農研機構の講演でも、その構成でお話しをしましたが、主催者の評価は2分していました。私の講演は大抵はそのような結果になります。
http://www.naro.affrc.go.jp/event/brand_nippon/list/brandnippon/2011/index.html
大規模農業も必要ですが、農村の景観をまもり、伝統作物や伝統的発酵食品を製造し守り抜く農業も必要。それが日本人が健康維持のため食べるべき真の日本食です。日本食世界遺産登録も、日本食の料理スキルやラーメン・スシ・てんぷらだけではないはずです。なかなかビジネスに繋がりにくいので、食品メーカーや商社が扱うことはありません。某商社に味噌の企画書を提出して失笑を得た事も・・・今は思い出話し。
伝統作物や伝統食の製造、そして農村の景観を守るのは高齢の方々。素晴らしいミッションです。ディープな日本が外国の方々のブームになる事を願ってやみません。


宮城県加美町で講演させていただきました。昨年に引き続き2回目です。

地域での伝統食づくりや農家レストラン・農家民宿などのレベルは高く、住民の方々、特に女性の方々の凛としたお姿は日常生活が充実していることの証だと思いました。


最近、徳島県祖谷地方を訪れました。平家の暮らしの資料館にスローライフな日本の農村的暮らしがあり、自分の理想とする暮らしがありました。


四国には味噌やお茶などの伝統が奇跡的に残されている稀有な地域です。残された日本、それをさらに発展させて維持していく努力を強調したいですね。経済界はオリンピックの経済効果を試算しながら、日本の魅力を高めるこういった地域への協力も惜しまないでいただきたいと思います。

碁石茶

大歩危小歩危地域の産直で見つけた自家製味噌
台風16号で大荒れの日本でしたが、どうしたことか雲の上の山脈を移動し、旅程も台風の進路をうまく避けていたらしく、飛行機の欠航も信じられないままにバスと新幹線を乗り継いで1日がかりで帰宅しましたが、四国から大きなものをいただきましたこと、人生の宝のような旅でした。
日本文化再創造は、ひとみがき・食みがき・地域みがき
これまでの活動を継続していきたいと思います。

岩手限定ですが、農業普及という雑誌でこれらの事をお話ししました。医師の仕事の目標はいろいろあっていいけれど、自分なりのミッションと夢を持ち続けたいですね。