
にたきこま収穫際のつもりで準備していましたが、成熟した岩手の食文化を表現したく、会の主旨を少々変更しました。「癒し」もテーマです。
自分で契約栽培(矢巾の藤原さんにお願いしました)して手に入れたにたきこま。メニューにしたりドライトマトにしたり、ペーストにしてみたり。格闘しているうちに、雫石創作農園の方(ペースト)や佐々恵農園さんのドライトマトのテクニックに助けられ、こうして手に入れた食材を使用して今日のメニューに至りました。
これが私の参加者への~あなたのために~という癒しの食です。思いを朝日亭シェフ・勝山氏へ委ねメニューに表現。
素直に・・・は、あまりテクニックを加えずに素材の持ち味で「食して」味わうというものです。二皿目の「海草とグレープフルーツのサラダ」は、特にプロの方が「何、これ?」っていう表情をしていましたが、「先ほどのバーニャカウダなどの残りをさわやかにニュートラルな状態にするため。三皿目の「にたきこま極上パスタ」のパンチを聞かせるためのマイナス・メニューなのです。」と説明にて納得したご様子。
さまざまな領域の方々にお集まりいただきまして、それだけで感動。そして会の間じゅう、意見交換をされる人々の生き生きとした表情に、いわての食の可能性を十分に感じることが出来ました。
翌朝のNHKニュースでさわやかに放映。取材チームの感性が岩手の希望へのメッセージに。
これまで「にたきこま」に関わってくださった全ての方に、心より感謝申し上げます。感動と勇気をありがとうございました。
食を提供する側も癒される・・・幸福感を共有できること・・・癒しの食のコアがここにあります。
最後に、さまざまな注文に文句一つ言わず裏方に徹してくれた県庁流通課の菅原さんに、まごころ込めて「ありがとう」の言葉を。
にたきこま倶楽部 http://doctor-ls.com/tomato/
ライフ・ワークでもある味覚のナチュラル・サイエンス。このタイトルでの講義内容依頼でしたので、はりきって講義しました。少々マニアックになってしまうのがたまにキズです。
2時間の講義は3部立て。これまでの食の環境から日本人の体の変化と野菜不足の問題点、その関連を説明。野菜を「おいしいと思って」食べるための味覚の話と、野菜・果物から得られる味覚を、簡単なサイエンスを交えてお話しました。
そのとき放映したDVD「味けのない女」。こちらはかねてから交流させていただいております、果実堂というベビーリーフの有機野菜の施設栽培を行う企業で製作されたものです。創設者は薬学博士の方で、熊本大学との産学連携で、野菜の基礎研究を行うフードサイエンス研究所も兼ね備えています。昨年、岩手の二戸にも工場が出来ました。ホームページ http://kajitsudo.com/
現代の食生活から味覚障害が増えている、その解決のための野菜の役割を解りやすくドラマ仕立てで解説しています。主人公の女性が自分でつんだベビーリーフを食べた瞬間の爽やかな表情がナチュラルで印象的です。
最後は予定外でしたが、「これからも食べていく」という事で、抗加齢医学的な食の選択について説明を追加して合計2時間。
10人の食育対象者いれば10人の食育の語り方。知識を得るだけでなく、アウトプットをどうするかも食育実践には大事です、とお話しさせていただきました。
質問も多く、聴講の方々のレベルの高さが伺えました。なにはともあれ、食育推進アドバイザーという任務の重さを改めて実感しました。研鑽を積んで行きたいと思います。

岩手の野菜たちとの二度目の出会い~私にとっての東北農業研究センター~
と題しまして、お話させていただきました。
幼少期に書いた作文が、すでに今の医師・野菜ソムリエを物語っていたこと。野菜ソムリエになり、東北農業研究センターを訪問して、岩手の野菜を意識、その後訪れたペルーでの体験から、自身が岩手県人であることを強烈に意識しはじめて、今の岩手での医師・野菜ソムリエの活動をしている経緯をお話しました。
その活動の中心野菜は、東北農業研究センター生まれの調理用とまと「にたきこま」と、寒じめほうれん草です。
この野菜たちとのお付き合い。野菜と野菜ソムリエの関係というよりは、小さいころ植物や動物をじーっと観察していた幼かった頃の純真な気持ちと共通のような気がします。
いわて大好き!
聴衆の方々と心がシンクロした一瞬でした。
講演の機会を与えてくださいました東北農業研究センター、そしてお集まりくださいました多くの方々に深く感謝を申し上げます。