昨年までは家族が開業したこともあり医業に軸足をもどしていましたが、今年は新しい出会いがあったり医食農連携の事業を始めたりして注目があつまり、大きな舞台で講演をさせていただく機会が増えました。

県内の野菜ソムリエさんの活動に影響しないようここ数年は活動を県外にむけていましたが、前述のこともありまして県内活動が増加、ひとつ仕事を終える⇒その関係の方から仕事をいただく・・・その連続の1年でした。

山形、宮城、秋田県、岩手、青森と広いエリアで自分の医食農連携の考えを発信できましたこと関係者に感謝とお礼を申し上げます。

以前、食のブランド日本2011でお話ししました通り、高齢化社会における医食農、シニアの暮らしが日本の未来を変える、伝統的日本食文化の確立、そして観光立国日本。その時は受け入れられませんでしたが。
http://www.naro.affrc.go.jp/event/brand_nippon/list/brandnippon/2011/
その後東京オリンピックの開催がきまったこと、原発事故もなんとなく煙にまいて、意外にも外国人観光客が戻ってきたことなど
私がお話しさせていただいておりましたこと現実に運びつつあります。
食と健康の領域に医学界がやっと研究の領域を広げてきたことも安堵です。岩手の食材の価値を語りやすくなりました。

ノルディックウォークの領域で食の情報発信の機会を得まして、出身地であり被災地でもある田野畑村で、メディカルツーリズムを推進していこうと思います。
医師になりたての頃から持つ疑問。医師って人のためになる仕事ならまごころで引き受けるものですよね。医業屋さんが多くて、「徳になる」事以外は手を出さない人がなんと多い事でしょう。まあ、人は人、自分は自分です。保健師の岩見ヒサさんの著書を時折見ながら気持ちを修正しつつ来年もコツコツ目の前の仕事をしていきたいと思います。ご指導よろしくお願いいたします。
岩手県遠野市でノルディックウォーク講習会を開催(講師は日本NW連盟理事の斉藤保氏)。というのも伝統野菜とノルディックWの組み合わせでのメディカルツーリズムを考えているからです。

岩手県遠野市。雲が低くゆっくり流れます。

暮れ坪かぶのおろしを添えた日本蕎麦は抜群です。

創作料理の要
蔵を改装した素敵なお店です。


琴畑かぶ、嬉しですね。蘇った野菜です。

その他のお料理も繊細な味わいの素晴らしい数々でした。
そこにしかないものを訪ねて、環境や食材を感じ味わい身体の隅々まで届ける。もてなす方も訪れる方も高齢化がすすむでしょうが、穏やかな交流が日本文化再創造として日本を美しくしてくれるでしょう。

12月3日は八幡平地区野菜生産者の集いで講演。生涯現役農業人のための食と健康の基礎知識。地域をみがくのは生活している方々。農業をされている方々に委ねられています。医療から、シニア野菜ソムリエから、応援・支援させていただきたいと思っています。
いのちを耕すお台所~医食農連携で生涯秋田美人~と題して講演させていただきました。

[講演内容] 秋田県農山漁村生活研究会グループ協議会50周年を迎えられましたこと、こころよりお祝い申し上げます。生きてきた時代をふりかえりますと、日本も世界もそして食環境も大きくかわりましたが、それでも働いて食べていく・生きていく事は普遍的で、いっそう大切な時代になってきたと思います。 高度経済成長の数十年間、私たちは物事の本質や正義を判断し問題解決をしていくことを怠り続け、美しい自然環境、美味しい食、健全なこころと体を見失ってしまいました。気がつけば人口は減りはじめ、北東北の高齢化率は類をみません。 農家さんの高齢化も、強い農業の側面から問題視されがちですが、長い経験をもとに生産された農産物は品質が高く、地域の伝統食・発酵食品の製造現場、農家レストランなどで元気に働くシニア世代を沢山みうけます。 「生涯秋田美人」のためには健康長寿が必須です。加齢に伴い高血圧症や糖尿病、骨粗鬆症、関節疾患、認知症、がんなどの疾病も増加します。ただし治療中の疾患の有無に関わらず、加齢の下りのカーブを緩やかにすることは有益で、内服薬を減らす事やピンピンコロリの達成にもつながります。なかでも毎日の食事は特に大切です。保険診療で実施される食事指導のほとんどは、カロリーや塩分など食品成分表の数値をもとに行われています。これですと輸入食材でも加工食品でも、数値があえば治療食、予防食です。一方、抗加齢医学では、抗酸化、抗糖化、脂質バランス、腸内環境から食をとらえています。すなわち野菜果物のフィトケミカル、まるごと頂く未精製穀類、ω-3脂肪酸、発酵食品や食物繊維豊富な食材を抗加齢食として推奨しています。これに匹敵するのが、新鮮な野菜果物、魚、健全に飼育された畜産物、豆類、味噌などの発酵食品、まさに秋田県の農水産物です。フィトケミカルは植物性食品の味、香り、色に関わる成分で、収穫後ただちに減衰していきますから、地産地消の食生活は疾病予防や抗加齢にアドバンテージであるのです。特に腸内環境のよしあしによる老化促進や疾病とのかかわりの研究がすすむにつれ、自然に近い食品をいただく事の重要性が再認識されています。これは加工食品や出来合いの食では実現できません。良い作物が育つために良い土壌にすることと同様、よい腸内環境のみなもとは「いのちを耕すお台所」にあるのです。冬期間の保存食に塩分が多くなることはいたしかたありませんが、くふう次第で解決は充分可能です。 資料2は医食農連携の概要図です。生産現場・食産業・医療福祉それぞれの距離が縮まることの大きなメリットと、そしてその中心は食を準備する「お台所」であることを強調いたします。医療が食への理解や関わりを強くしていく事がこれからの課題です。 秋田県のキャッチコピーは「ユタカな国へあきたびじょん」、岩手県は「黄金の国いわて」、宮城県は「美味し国」と共通の理念、つまり「生産し食べて幸せに生きていく事」です。高齢化社会において多くの方が社会保障費に頼らず、生き生きと働く社会にその理想郷があります。東京オリンピックの開催が決まり、伝統的日本食文化や農山魚村の景観に、食産業や観光業界が注目してきました。経済活動の方向を舵きりし、美しい日本、美味しい食、健全なこころと身体という大きな遺産を、次世代に残せることを願っています。

会場300名の方々は生産し食品加工し家族とともに地域で暮らす方々。会場と一体になったかのような講演。貴重な経験をさせていただきました。

秋田県の伝統を継承していくキーパーソンと岩手の在来作物を手にしての記念撮影。北東北の手つかずの自然や中山間地帯の景観、温泉、人々、伝統食・・・・観光へと発展させて高齢化社会をむしろ享受して美しい日本を後世にこのしたいと思います。