あきた郷土作物研究会・ワークショップinよこて
~大屋梅・八木にんにく・新処(あらどころ)なす~
かなり以前から秋田の農作物に興味があり、親しかった野菜ソムリエさんに案内されるがまま見学させていただいておりました。2年前から秋田県立大学が中心となり郷土作物研究会が発足、山形大学の江頭先生も関わりを持たれておりましたので、充実した会となっており、私も会員登録させていただいております。
大屋梅の歴史は1200年前ともいわれ、横手市大屋地区には樹齢400年ともいわれる古木が大事に育てられ、そして今年も収穫の時期となりました。
保存会の方の語りはなかなかユニーク。平泉と歴史的関わりもあり、今度、大屋梅が平泉に移植される予定でクローンの梅の樹を育成中だそうです。
栽培農家さん。しかし秋田の女性は何歳になっても美人ですね。
そして八木ニンニク。6片あるいは4片の思ったより大きなニンニクでした。
新処なすは、まだ収穫時期ではなく、見学なし。
その後、デリカッセン紅玉さんで、地元食材を使用したランチ。新処なすのつけものは昨年のもの。コンクールで何度も金賞を受賞しています。ニンニクのバーニャカウダ、ポタージュスープ、梅の果肉を使用した鶏肉のグリル、などなど、大変美味しくいただきました。
その後、事例報告。
新処なすの紹介:生産者黒沢さん。
大屋梅のペースト、ジャムを製造する加藤正哉さん。
地域の食材をいかす紅玉のとりくみ。高橋基さん。
この高橋さんの報告は共感することが一杯。会社は樹、地域は大地。地域とともに生き、地域に生かされる。ビジネスはもちろん大事だけれど、戦略ではなく生き方、ライフスタイル。そのように申されました。
共感を覚えます。大屋梅保存会の方、そして生産者、高齢化は現実ですが、そのなかで「働く」「生きる」が爽やかに地域をかけぬける。そういった地域の清涼感・爽快感こそ地域の魅力であり、幸せであり、ビジネスをする意義でもあると思うのです。
お若いのに、どしり安定感を感じます。奥さまが素敵なのです。お料理も担当なさっています。
成功例「あきた食彩プロデュース・伝統野菜漬物シリーズ」この会社は行政からの出向、銀行、そして京都の有名漬物屋や有名アドバイザーのコンサル付きですから、成功して当然いえ、こけたら総スカンの、ある意味厳しいかもしれませんが、出来あがった贈答用漬物は秋田であって秋田でなく・・・。なにせ味が京都よりなのでしょうから(東北の漬けモノはかなり塩辛い)。良いのか、悪いのか・・。
今日一日、ゆるりと横手で過ごし、自分の立ち位置やいろいろな状況で発する言葉をブラッシュアップした良い1日でした。
ところで横手は焼きそばの町から、ラーメンの町にいつしか変わっていましたよ。
早池峰菜(はやちねな)は、茎立菜の一種で、岩手県遠野地方、早池峰山麓の山村の農家に伝承されていた地方野菜(在来作物)です。絶滅寸前のところでしたが、偶然発見された菜類で、早池峰菜の名は、発見後名付けられたということです。遠野緑峰高校の生徒さんたちが栽培や保存に携わっています。 その出会いはさかのぼること2月12日六本木ヌッフで開催された、ロレオール伊藤シェフ主催の岩手の食材を首都圏のシェフに紹介する会、遠野緑峰高校の生徒さんが手にした早池峰菜は天から舞い降りてきたようでした。ひと目ぼれです。 その後、おお通り健康教室のイベントでふるさと活性センターが早池峰菜を紹介、伊藤シェフの早池峰菜ソースのお料理はとても美味しかった・・・。
この感動をみなさんで共有したく、早池峰菜を楽しむ会を企画させていただきました。農、医薬、流通、食産業、テレビ関係、などなどの参加された方々の野菜への想い、そして高い料理技術を駆使し、まさに今宵だけのスペシャル・メニューを準備してくださいましたモン・フレーブの狩野シェフそしてスタッフの協力のお蔭で、早池峰菜の素晴らしさがさらに身体に刻まれることとなりました。
計画中に、スローフードジャパン・味の箱舟認定、宮城県の小瀬菜大根の実が手に入る事になったり、やぐらネギ(三階ネギ)が急遽参加したりと・・ワクワク感一杯。こういうダイナミックな企画は大好きです。
トウモロコシの冷製ヴルーテ
彩り野菜とサーモンの炙り イサダ入りソース
早池峰菜ソース、小瀬菜大根の実(さや)の3種の風味
アスパラガスのソテーとイタリア産生ハムパリミジャーノのチップを添えて
ホタテガイのサラダ 苺のヴィネグレット、早池峰菜のお花、ホタテの間には三階ネギが。
天然海老ソテー ニューバーグソース、早池峰菜の根っこ付き丸ごと、ハトムギを早池峰菜の葉でロールして、小瀬菜大根の実・・・まさに一期一会・・。
岩手県産牛フィレ肉の南部鉄器焼き 牛蒡ソース、ソースの中に早池峰菜の根が入っています。
ヨーグルトとフルーツ
早池峰菜ソース、早池峰菜のお花、早池峰菜の根、すべて食べられるお野菜です。 小瀬菜大根の実は莢の部分は三種の風味で、そして、な・な・なんと、さやかや取り出した実の美味しい事といったら(お料理が大変だったそう、狩野シェフ感謝です)。そして急遽参加の三階ネギ(やぐらネギ)アナの女王の冠の様に大きく育っていて存在感あ。
これからの早池峰菜への期待と心配事。 野菜の背景にある人の暮らしをかざしてみると、実にいろいろなことが見えてきます。中山間地帯で細々と栽培継承されてきた野菜が見つかると、珍しさや興味から栽培を始める人、さらにお金になる、と判断されると、栽培したいという農家さんが出てきて、それを取りまとめる生産組合が出てきて、それから種苗メーカーが出てきて、農業資材を売る会社が出てきて、生産が多くなると売らなくてはならないし、販路拡大だとかブランディングとかも騒騒しくなるし、種は自由に移動するから、その他の場所でも栽培され、いつしか本来の品種とは味も外見も変わっていき・・。いつしかその野菜の栽培は、もともとの畑から姿を消してしまう。大量生産したい人のためにF1品種も並走しはじめ、とうとう野菜の物語は忘れ去られてしまう。これが資本主義経済の農業の自然史。それにお金が絡むとヒトの関係もぎくしゃくしてきます。この早池峰菜だけはその場所でそのままで存在し続けて欲しいと願っています。
朗報!遠野緑峰高校の早池峰菜研究会の生徒さんと遠野のシニア野菜ソムリエ高橋義明さんたちが共同でスローフードジャパン味の箱舟の認定に向けて活動を始めました。現地調査と学術がそろえば認定に一歩近づきます。認定されると私の不安は解消されると思っています。 とてもいいものがあって、いつかは食べたい・経験したい、ということも、時間経過の中で気がついたらすでに存在そのものが無くなっていた・・・そういう残念な思いは、こと農作物に関してはしたくなく、野菜、そして人との出会いを大事に、のがさないように、これからもちょくちょく活動したいと思います。
早池峰菜を届けて下さったふるさと活性センターの藤井様、小瀬菜大根の実を生産・お送りくださいました加美町の早坂様、ヤグラ葱を吾妻ひでおのマンガと物々交換して下さった佐々恵農園様、素晴らしいお料理の技術を披露してくださいましたホテルメトロポリタンニューウイング、モンフレーブの狩野シェフそしてスタッフ、参加して下さった全ての方々に心から感謝を申し上げます。
ホテルメトロポリタン・ニューウイングの狩野シェフにお願いして、ウエルネス・メニューを開発しました。
おもしろい論文が・・・
値段が高い食事は財布には痛いが、そのほうがおいしく感じる可能性があるという研究報告が、米サンディエゴで開催された実験生物学会(EB)の米国栄養学会(ASN)年次学術集会で発表された。
米コーネル大学応用経済学・経営学部教授のBrian Wansink氏らの研究によると、4ドル、あるいは8ドルを支払ってイタリア料理の食べ放題ブッフェで食事をした139人に感想を書いてもらった。その結果、8ドル支払った人は4ドル支払った人よりも、平均11%多く食事を楽しんでいた。両群の全食事量は同じだったが、4ドル支払った人は、食べ過ぎ、食事に罪悪感を抱いて、食事が進むにつれてその食物を好きでなくなる傾向が強かった。 Wansink氏は、「レストランで食事の値段を抑えるということだけで、顧客の食事に対する評価や認識にかなりの影響が生じる」と述べている。共同研究者の1人は、「料理の値段は、食事に対する感情やそのレストランの評価に大きく影響する」という。安価な食事=粗悪な材料のメニュー=身体に悪い、という感情でしょうか?
やはり食事はきちんとした料理を、対価を払っていただく事が健康にも、食文化の発展にも貢献しそうです。しかも食事をする場所やサービスも大事です。満腹になるとせっかくのワインも台無しになります。
ということでホテルメトロポリタン・ニューウイングの狩野シェフにお願いして、ウエルネス・メニューを開発しました。
全部で550Kcalくらいです。食材はいつも一定ではありませんから小数点以下は表示していません。
低糖質にも仕上がっています。ワインも飲みたいし、フレンチも楽しみたい人へ。アンチエイジングのため、そして高齢になると少食になりますから、超高齢化時代への対応でもあります。5500円、大切な方と大切なひと時を。そして今日をひきずらない、すがすがしい明日のために。
こういったメニューが定番になるためには、一定のファンがいることが条件。これから野菜とアンチエイジングのセミナーなども開催していきたいと思っています。